サドルの上に9時間。

今日は、木下選手と練習をした。


 木下選手は、僕の2つ年上で、学年でいうと1学年上の先輩であり友達でもある。





 

 木下選手。(現在フランスで活動しているプロロードレーサー


 彼は(自分の道をゆく)といった言葉がよく似合うような感じ。  いや〜実にかっこいいぜよ。


 彼が高校3年、僕が高校2年のとき、新潟国体のロードレースのために一緒に練習をして、(お前のこと、強くしてやる)と言った言葉を信じてみた。


 彼の練習は他とは一味二味違った。


 それから、彼に対しての信頼は大きくなっていった。


 僕が目標としていて、目指している選手である。











 そんな木下選手の家へ朝、迎えに行くと「今、起きた。」だってさ。この余裕が良い。


 練習場所は三浦半島の先端(そこに行くまで家から50km)。1週9km弱くらいのアップダウンで信号のない周回コース。


 ここ、すごく好きなんだ。雰囲気とか景色とかね。

 




 そこを16周する。(今までこんなに回ったことない)


 距離にして140km止まらずに淡々と走り続ける。


 

 巨大なかざぐるま(風車)


 この風車が回っていないことに一安心だ。風車が回っていないってことは、風が弱いってことだもの。


 

 

 


 ときどき、「強くなりて〜」と叫ぶ彼。


 後ろ走ってるだけで背中からその思いが伝わってくる。(僕も、僕もおんなじですよ)と思いながら。





 そして、後半(13周目から1人1人に、)


 

 

 


 夕方。


 時間は一定の速さで進む、だが、自分の影は1周回をかさねるにつれ、だんだんと縦長へと延びてゆき、その速さは加速していく。




 耳を澄ませても、遠くでカラスが鳴く声しか聞こえない。その鳴き声が、疲れた僕をますます心細くさせる。


 



 


 遠くの海面を見ると、夕方の太陽の光で金にキラキラと輝いていた。


 それを見て、なんか寂しさを感じた。









 そして、16周を走り終えたときには、ホイールの影が大きく楕円の形になっている時間だった。



 終わった喜びを。

 

 

 自転車、よく走ってくれた。




 コーラを飲む。


 







 そして、帰り道、木下選手と別れた後、湘南国際村へ。(その時点で190kmを超えていた)


 学校の後輩2人が練習していることを知ってたから。



 そこで、後輩2人と僕、3人で7分のレース走を1本。もう、踏めなくてきつかった。



 でも、後輩に何かを感じ取ってほしかったんだ。だからやった。







 そして帰宅。家についたときには、228km 9時間も自転車に乗っていた。


 ごはんを食べる元気もなかったんだけど、1時間かけてゆっくり食べる。食べないと明日がダメになってしまうから。





 今日はいろいろ学ぶこともでき、なんだか素晴らしい1日だった。