アジア選手権ロードレースU23 小石選手が優勝


タイ・ナコンラチャシマ開催のアジア選手権ロードレース。僕の2015年シーズン初戦でありアジアのロードチャンピオンを決めるこの大舞台、このレースに向けて12月から準備を積み重ねてきた。


代表選手メンバーは徳田優(鹿屋体育大学/チャンピオンシステム)、小石祐馬(チャンピオンシステム)、面手利輝(EQADS)、岡篤志(EQADS)の4人で1月の終わりからタイへ現地入りをして合宿を行いコンディションの良い選手を選ぶという選出方法だった。タイの合宿でも好コンディションを確認でき、強く望んでいたアジア選手権を走ることが叶った。エリート選手との合同合宿は非常に素晴らしい経験をさせて頂き濃いトレーニングを積み重ねて十分に準備を整えアジア選手権を迎えることができた。



前日のジュニア女子とジュニア男子の各カテゴリーでも日本チームがそれぞれ優勝をしており日本チームに良い流れが来ていた。U23カテゴリーの自分たちのレースも最高の結果を手にしたい。チームとしてももちろんだが自分個人としても絶対に勝つという気持ちでスタートラインに並んだ。


【レースレポート】
コースは1周が8kmのフラットな周回コースを10周する80km。U23カテゴリーのレースとしては短いロードレースであり夜20時スタートのナイターレース。日本チームの作戦は前半は自分たちからは攻撃せずに力を温存しレースの後半に強力な攻撃ができるようにすること。逃げには積極的に徳田選手と小石選手を送り込み、レースが集団スプリントになった際には自分と岡選手でスプリントの連携を組んで集団の頭を狙う作戦。


レースはスタート直後から常に50km/hを超える集団から逃げたい選手がアタックを打っていく。ヨーロッパのレースを走り慣れている自分にはこのアジアのレースでの集団内の位置取りなどは特に難しいと感じることはなかった。
集団前方の好位置でスピードアップで伸び縮みする集団内を走っていたところ、スタートから10分も経たないうちにイラク代表の選手が自分の自転車のリア変速機に前輪を絡めてカーボンが割れる音を砕け散らせホイールを破壊。そのとき自分のリア変速機も破損して走れない状態になってしまった。日本チームの選手に機材トラブルを知らせて浅田監督が運転するチームカーを止めてスペアバイクに乗り換え見えなくなった集団を追った。


色々な国のチームカーの隊列を使って何とか集団まで戻るのにコース1周もかかった。その際にカーペーサーをしたと審判者から30秒のペナルティを課せられてしまう。


30秒のペナルティとはゴールした時間にプラス30秒を与えるというもの。たとえ自分が集団スプリントで先頭でゴールしたとしてもそこから30秒後にゴールしたことになる。この時点で自分が順位を狙えるレースではなくなりできることは他選手のサポートのみになってしまった。サポートに切り替えてレースをした。


逃げが決まりタイム差が開いた集団内で自分にできる事は同じ集団にいた岡選手のブリッジを助けられたらと思い、カザフスタン以外の他国の選手たちにこの集団から抜け出したい意思があるかどうかをこっそりと聞いて探してみることくらいしかできる事はなかった。今考えれば他にもできる事は何かあったかもしれないがレース中はそれほど頭に余裕が持てていなかったし、先頭を逃げている小石選手と徳田選手に勝負を託すのがその場での判断だった。


岡選手と2人で集団ゴールをして帰ってきて小石選手が優勝し日本チームが勝利したことを知ったとき、本当の意味で僕は救われました。
他選手との接触による機材トラブルとペナルティにより開始10分で僕の可能性が消えてしまったアジア選手権、悔しくないわけがない。自分個人としては自分の力をまったく発揮できずにアジア選手権がこんな悔しい終わり方をしていてチャンスをものにできなかったことが昨日はどうしようもなく悔しくて朝まで眠れなかった。
タイから日本へ一時帰国したらまた準備を重ねて来月からのヨーロッパでのレースで良い流れを作りたい。そして4月のワールドカップ戦で今度は自分が光れることを期待して練習して確実に成長を続けていきたい。


皆様、日本からのたくさんの応援ありがとうございました。
面手利輝

シクロワイアード記事



JCF / 中村賢二さん


photo:Sonoko.Tanaka シクロワイアードより