リタイアという結果の中に得たものがある。


21日と22日は北ヨーロッパ遠征の2連戦。21日はオランダでのクリテリウムでその翌日はケルメスというベルギーのレース。この2レースとも結果はリタイア。でもリタイアという結果の中に得られたものがある。


【22日のケルメス2戦目レポート】
このレースの目標は勝ち逃げに乗ること。ゴールへ先頭で帰ってくる逃げにとにかく乗ること。今シーズンはもうフランスで数レースも走ってきて毎レースの課題としていた「その一瞬を見極めて全開になって先頭グループに乗っていけるかどうか」っていう今の自分の課題としていたこと。1レース1レースを走って順調に成長を続けていくという意味でも同じ失敗は繰り返さず今日は絶対に達成したい課題だった。



レーススタート前に橋川さんの「逃げに乗ることを一番に考えて気持ち良く楽しんで走れ、後のことは今は考えなくて良い」と言った一言が自分の緊張をほぐしスタート直後から決まるアタックを見極めてそれに乗っていくため、すべての動きに対して思い切って全開で反応していくことができた。



写真:Pol Demeyere Pomer


アタックの打ち合いの末、スタートして15km地点で11人の逃げが決まり、自分もそこに加わることができた。先頭グループは強調体制でスピードを上げて集団を引き離し1分30秒のタイム差でリードする。これは決まったと思った。今日はこの逃げが勝ち逃げとして決まるだろう。



写真:橋川さん


ベルギーの選手たちは風向きに対して敏感でローテーションの組み方や、自分自身が風を受けにくいように他選手を風除けとするテクニックが高い。ハイペースで進む先頭グループの中でもそういう共通事を感じた。先頭グループで逃げ続けるうちに脚が削られていく。120kmのレースの半分を過ぎて先頭グループの中に徐々に勝負の匂いが漂ってきた頃、おそらく先頭11人の中で自分は脚に余裕がなかった方だろう。そう状況を冷静に判断する目も必要だ。その中で余裕のある選手はさらに先頭11人をさらにバラけさせ人数を減らしていこうとしてきた。



身体能力を無視した気持ちとか根性論とか抜きに、冷静に実力を見たら自分より力のある選手たち。彼らに必死に食らいついてなんとかゴールまで耐えようと粘ったがラスト30km地点で先頭の逃げグループから脱落してしまった。その時にはもう脚に余裕は少しも残っていなくて後方から迫った大集団にも一瞬で抜き去られ僕のレースは終わった。
結果、自分の乗っていた先頭の逃げグループは最後まで逃げ切り、その中から今日のレースの優勝者が出た。



【レースを走っての感想】
勝ち逃げに乗るという今回のレースでの一番の目標をクリアできて良かった。今シーズン欧州で走ってきた数レースで「その一瞬を見極めて勝ち逃げに乗っていく」ことが今の自分の課題としていたこと。


結果を見れば今回のレースはリタイア。でもそのリタイアの中に課題をクリアできた走りの内容があったと言っていい。その先頭グループでの勝負にしっかり加わること。それが次の課題。それができればこのレベルのレースで勝負できる選手になることに一歩近づけるに違いない。


ヨーロッパのロードレースを走ってそこで順調にステップアップしていくことを簡単だと思ったことはない。厳しい世界だと常に感じる。何年も前から体感していることだけど日本を出てくると国内では見たこともないくらい驚くほど強い選手たちが本当にたくさんいる。そこを基準にして常識をつくっていくことが必要なんだと思う。引き続き、1レース1レースを通して順調に成長を続けていきたい。



写真:橋川さん