ジャパンカップ サイクルロードレース 2015



 photo:岡元さん

日本ナショナルチームの一員として初参戦したジャパンカップ。自分がここへ来た理由はひとつ。新城幸也選手のフルサポートをすること。このレベルのレースで今の自分が新城選手に対してアシストとして何ができるか。よく話してやるべきことを明確にしてレースをスタートした。1周目の古賀志の登りで初めて受ける大歓声に鳥肌が立った。いよいよ僕の今年のラストレースが始まった。



レース中は常に新城選手の近くを走り、後半へ向けて力を温存させると同時にいつでも話して指示を受けられるように走っていた。レースが大きく動くところで自分も動いてアシストとしての役割を確実にこなすことが大事だ。新城選手と一緒に走り学べることがたくさんある。感じたことは脚にはもちろんだけど、すごく頭に余裕がり常に冷静であること。



前半からトレックチームが集団を牽引しコントロールしている。集団の前方はプロツアーのチームが人数を揃えていてそこに入り込んで1人で居場所を作ることはかえって脚を使うことになる。だから重要な場面以外では後方で温存と待機の走りをしていた。
それに集団内には先頭を引いてコントロールしているチーム、その時間に仕事をしているチームに対しては割り込むことも被せることもしてはいけない。ルールということではないがプロのロードレース界にはそういうものが確実に存在する。



そこに居場所を作りたいのならば、人数を揃えてチームで動き、集団牽引などその時間の仕事に自分のチームメイトを送り込み他チームに自分たちの存在を認めてもらうことが必要になる。これは僕が今まで浅田監督の下でヨーロッパで走り学んできたこと。力だけではない姿勢、そういうレースの仕方が周囲に自分たちを認めさせることに繋がる。



レースは全14周回あるうちペースアップがかかり割れる重要な局面というのはラスト3周からだろう。「ラスト3周の古賀志の登りは絶対に先頭で入りたい」と新城選手から指示を受けた。集団のスピードも上がってきてスタートと同時に決まっていた逃げも吸収していよいよラスト3周に入る。

チームスカイが先頭で古賀志の入り口手前はかなり激しい位置取り。横を見ただけでもBMCチーム、キャノンデール、ランプレ・メリダも良い位置に来ている。新城選手が後ろにいることを確認して前へ上がり、チームスカイの隊列に張り付き新城選手を3番手で古賀志の登り口へ送り込むことができた。ここでは良い仕事ができたと思う。



 photo:高木さん



「ありがと!」と一言の後、新城選手は古賀志を駆け上がっていった。自分はなんとかこの周も集団で登りきって、次の周回でもアシストするために耐えようと粘ったが、古賀志を登るスピードに耐えきれなくて集団から千切れ自分の新城選手に対してのアシストの役割はそこまでとなった。残り2周回をグルペットで走り7分半遅れて32位でゴールした。





今回のジャパンカップ遠征を通して世界の舞台で、あの世界で走っている新城幸也選手、別府史之選手がどれでけのものを背負って走っているのか。それを肌で感じることができたように思う。うまく言葉が見つからないが、新城選手とチームメイトとして走る貴重な経験をさせてもらった時間の中でそういうことを感じた。


今、日本のロードレース界で別府選手、新城選手に続く若い選手がいないと言われている。僕ら世代は結果が出ないとそう言われ、自分はそれに対していつも悔しく歯を食いしばっている。確かに自分でもまだまだ力不足だと思う。今回のジャパンカップも結果は新城選手に頼りっぱなしなのも事実。まだまだ遠く厳しい道のりだけどあのレベルへ到達できると信じてその道を選んで挑戦を続けていきます。


レース会場ではたくさんの応援・ご声援をありがとうございました。そして今年1年間を通してたくさんの応援ありがとうございました。僕にとって素晴らしいシーズンになりました。また来年、成長して強くなってレースの現場へ帰ってきます。だからこれからも応援してください。宜しくお願いします。


面手 利輝



 photo:岡篤志